神田 外国料理店食べ歩きの旅

 世界には様々な料理がある。その土地にあった独自の形態は今もなお、あらゆるところで受け継がれてきている。そんな本格外国料理をなんと明治高校周辺でお目にかかることができるのである。そこで今回、約50店もの外国料理店の中からいくつかのお店に的を絞り、外国料理とはどういったものかを取材することにした。


1,旨いワインと料理。お客様の思いのままに
フランス料理 エスカルゴ

   神田小川町3−16 池久ビル1階
   п@3219−7725

 明治大学リバティータワーの裏に位置するこのお店。外観内装共に一見洋風だが、実はよく見ると提灯や瓦など、ジャパニーズテイストがほどよくちりばめてある。

 おすすめは店名にも使われているエスカルゴ。ここでしか味わえない、赤ワインで水分が完全になくなるまで煮込んだ、いわゆる"佃煮"のようなものもいただける。フランス料理のみならず、地中海、フランスの植民地であったアフリカその他エスニック料理も自慢の品。フランス料理というと、とても形式張ったイメージがあるが、このお店は違う。客の思いのままに気軽にワインと食事が楽しめることがウリの一つである。常にお客様のニーズに合わせることがこだわりだとか。古書街散策の帰りに是非寄っていきたいところである。
 
ほうれん草とじゃがいものフィッシュ

口一面にとろっとしたクリームとほうれん草の香りが広がる。表面のチーズはほどよくこんがりとしていて食感は"サクとろ"といったところだ。

和風シュークルート

ドイツ料理ザワークルート(キャベツの酢漬け)をイメージしたものである。見た目は大根、人参、ゴボウの"金平風"だが、味のほうは「アレッ!?」と思わせるような意外さ。ちょっと辛酸っぱいエスニック漂う味である。

エビチリ

とはいっても中華料理ではない。ホタテ、エビ、イカを、炒めたタマネギなどが入った辛いソースで煮込んだものである。一口食べると洋風の辛さが口いっぱいに広がる。辛党にお薦めの一品。

子羊と三種類の豆とソース

柔らかく焼いてある子羊肉。口の中でとろっと溶けるような食感。

以上4皿で計5200円




2、本格インドのナン
インディアンレストラン ムガール・マハール

   猿楽町2−2−5
   п@3518−6150

 明高生がよく通る路地を抜けたところにある。路地にはいかにもインドというような匂いが漂う。そんなこのお店。本場インドの料理人が作るインドカレーを味わうことが出来る。本物の焼き器で焼いたナンとほどよい辛さのカレーは見事にマッチ。

マトンカレー  さっぱりとした辛さのカレーに柔らかく煮込んであるマトン。

黒豆のカレー 大小様々な黒豆が入っている豆のコクとほどよい辛さのカレー。黒豆の食感とプレーンナンは、それだけでもいけそうなバターのコクとほのかな塩味がカレーと非常にマッチ。ナッツが練ってあるカシミーリナンは、ナッツの風味と食感が楽しめ、カレーの辛さとナンの甘みが見事に合う。



 




3、本場のカレーライス
インドカレー カーマ  

   猿楽町1−2−3
   п@3233−8787

 印刷所が建ち並ぶ通りに位置し大体の人は通り過ぎて隣のコンビニへ行ってしまうということが多いであろう。しかし、この店に入れば「なぜ今まで気づかなかったのだ」と思うことであろう。カレーは4品とシンプル。内装、外観にはこだわらず味一筋で勝負だとか。

チキンカレー 

 スープ状のルーが特徴。赤々としていて目からも辛さが伝わってくるほどである。付け合わせの干しぶどう、大根とキュウリの漬け物が水よりも辛さを紛らわしてくれる。香りのいいスパイスを使用しており、ただ辛いのではなく、辛さの中にちゃんとした味というものが存在している。

サブジ

 野菜(人参・大根・じゃがいも・コーンなど)たっぷりカレー。辛いものが苦手な人にお勧め。ルーは少な目でというよりほとんどなく野菜の煮物カレー風味にごはんといったかんじである。が!野菜は自然の甘みがして結構いけるっ。ただルーの少なさが玉に瑕なのかもしれないなあ・・・

各メニュー800円(税込)


 









4、焼きたてパンのサンドイッチ  パンと馬鈴薯とスコッチの店 
LONDON city

   猿楽町2−1−1桐山ビル1階
   п@3292−4426

 外観はごく普通の喫茶店であるが、ドアを開けるとまさにそこはロンドン。キープされたボトルの棚、中世イギリスや近代ロンドンをイメージしたポスターなど、凝った装飾である。
 そんなこのお店のおすすめ料理は「サンドイッチ」である。機械を使わず包丁で切った背の高いイギリスパン、しかも焼きたてのものの中に、ショーケースの中に並ぶ新鮮な野菜などの具と自家製ソースを詰めていく。そういった工程で作られたできたてのサンドイッチは、パリッとした野菜の食感、柔らかいのに水気を吸ってグニャっとなっていないパンの食感。そして、ソースの旨みが見事に合っている。また、黒パンを使ったサンドイッチはあまり目にしないであろうが、ここではそんな黒パンを使ったサンドイッチも魅力の一つである。
 「サンドイッチのほとんどが、見栄えをよくするためにパンに焦げ目をつけたり耳を切った正方形のパンが使われたりしているが、うちではそういったことはしない。味一筋で勝負。」と語るマスター。開業以来16年間同じやりかたで、値段も変わっていないとか。
 夜になると、美味しいスコッチや120種類あるおつまみが自慢のパブになる。サンドイッチ以外にも、フィッシュアンドチップスや、馬鈴薯料理も人気メニューである。

エジンバラボックス
 このように、このお店のサンドイッチにはイギリスの地名が使われている。卵のマヨネーズ和え、トマト、レタスをコッペパンにサンドしたものである。今回はコッペパンがなかったのでイギリスパンにサンドしてある。

ローストビーフサンド
 ボリュームたっぷりのローストビーフとレタス、トマト、玉ねぎを黒パンではさんだサンドイッチ。ソースの酸味と肉の旨み。そして、新鮮なトマトが非常にマッチしている。そして、香ばしい黒パンはまさに圧巻。言うことなしのおいしさである。
各メニュー500円から。




5、本格イタリア料理のフルコース
Italian Restaurant TUSCAN SQUARE

   神田神保町アイビー第二ビル
   п@3518―6156

 入り口の庇の青を見て、イタリアの地中海沿岸を思い浮かべたのは自分だけであろうか。とにかく外装は、イタリアンな雰囲気を醸し出している。内部は一階と地下一階の2フロア。地下に案内されると、そこはあたかも地上であるかのように明るい。テーブルの上にはすでにナプキンと各種ナイフ、フォークが並べられていて、こちらもかなり緊張する。とりあえず飲み物にミネラルウォーターの炭酸入りを頼んだ。するとウェイターが来て、丁寧にグラスに注ぐ。もの凄く高級感が漂っている。

 さて、このお店のメニューの特徴は、フルコースメニューにおいて前菜、メインディッシュなどを自分で選ぶことができるクリキップという方式をとっていることだ。しかもそのフルコースは2800円とかなりお得。どの料理も野菜を多く使ったヘルシー指向で、その一つ一つが丁寧に丹誠込めて作られている。

 ワインを好む人やレストラン慣れしている人にもそうでない人にもうってつけのお店である。
「2800円のお得なコースをぜひ食べにいらしてください。お客様を満足させる自信はあります。」とお店側。フルコース以外にも単品料理(アラカルト)もある。こちらは一皿1000円から。



 




6、本格タイ料理
マプラー

   神田小川町3−2−1 古室ビル2階
   рR295−5375

 明校生御用達である天下のカレー屋「まんてん」のお隣に位置するため、明校生からは見向きもされないかわいそうなお店。それだったら行くしかないであろう。というわけで取材を試みた。

 外観はウォールペイントや玄関の置物がタイの風景を思わせる。内装は、天然素材中心で竹や木製素材で飾られている。お客さんの大半が会社で働く女性とのこと。道理で明校生がいないわけである。

 今回いただいたのは、レッドカレーとグリーンカレー。直感とは異なり、レッドのほうが辛くないというのが不思議だ。さてこのカレーは味も常識を覆すものである。「本場のカレーは日本の辛さとは違う辛さである」というが、まさにその通りで、まず口に入れると甘いっ!そして数秒待つと辛いっ!というものである。しかし、刺激的な辛さではない。マイルド感のあるものである。10種類以上のスパイスが入ったルーはスープ状。スパイスを噛むと、香ばしい香りが口中に広がる。具はエビや野菜などが入っている。食材は、本場タイ産のものを使用。「一度足を運んで本場の味を召し上がっていって下さい。年中無休なのでいつでもどうぞ。」とマスターは話す。

 セットものには、タイ風春巻きとお茶がついてくる。春巻きはかなりあっさりしている。特製タレを付けて召し上がれ。お茶は薬用茶のようで、食後に飲むと体内を浄化してくれるような感じがする。
他にも以下のようなメニューがある。

チャーハン

 普通にうまい。タイ米を使ったチャーハンはおいしいとよく聞くがまさにその通りである。それもそのはず。値段は一番安いが、長時間てまひまかけて作っているそうだ。美味しいので、逆に言うならばチャレンジしたという感覚がないのが残念なところである。

トムヤムクンヌードル

 トムヤムクンは、辛いというイメージが一般的だ。しかしメニューには酸っぱいと書かれている。そして実際に食してみると本当に酸っぱい。それが美味しかったりするのである。目玉メニューの一つである。

さて、このお店は7月5日から場所をかえ、メニューも一新し、新たなスタートを切った。取材にお邪魔したときは移転準備直前で、そんなお忙しい中で取材に協力していただいたスタッフの方々には感謝の気持ちでいっぱいである。
新たにお店を開くにあたり、マスターからは「一新されたメニューを見てみたいというあなた。ぜひ足をお運び下さい。明治大学に近くなったので、特に学生さん。どんどんいらしてください。」と意欲に満ちたコメントをいただいた。
セットメニューで780円から



おわりに

 「あまり明治の学生、生徒さんは見ないねぇ。」どこのお店でも聞く声である。確かに、今回お邪魔したどのお店も値段は高かった。この不景気の中、一食分をワンコインで済ますものは少なくない。それは仕方のないことだと思う。だが、現代人の味覚はだんだん変化してきているようだ。あるお店で「最近はうまさの追求ってもんがないよねぇ。食べ物の味は単一的だし。」という話を聞いた。ホームメイドがなくなる時は近い。誰もが同じ味のものを食べるときがくるのである。

 毎日安いコンビニ弁当や牛丼で済ましてしまう原因は趣味の多様性であろう。食にこだわらず、お金をかけないようにし、自分の趣味に回すといった感じであろう。紳士社会のイギリスでは何もかも服装に費やし、あまり食にこだわらなかった。そのため、独自の食文化はあまり発展しなかったと聞く。それも文化の一つとして認めざるを得ないが。

 食文化を継承していくためにも、もっと様々なものを食べていくべきであると思う。毎日同じものではあきてしまうであろう。だから、これを見ることを機にさまざまなお店に行っていろいろなものを食べてもらいたいと思う。たまには食事にお金をかけてみるのはいかがであろうか。